祭りに関する聞き取り調査の流れの中で、「祭りの後に行われる打ち上げ・慰労会のことをなんと呼びますか?」という質問を入れることにしています。
県東部の調査では、ほぼ決まって「チョウヤブリ」という答えが返ってきます。
「なんでチョウヤブリと言うんですかね?」と尋ねると、「さあ、なんでなんかなあ」という回答のほか、「祭りの会計の帳面を破る、つまり祭りが終わりという意味だろう」という答えも時々返ってきます。
チョウヤブリ=「帳破り」という解釈です。
一方、県西部で同じことを尋ねると、「ドウヤブリ」もしくは「ロウヤブリ」という答えが返ってくることが多いです。
その意味を尋ねると、「参籠を解くからロウヤブリ」「祭りの前に牢のように籠もり、それを破るのでロウヤブリ」「当家(祭りの当番)が終わる、すなわちドウヤブリ=トウヤヤブリ」などと、これまたいろいろな答えが返ってきます。
香川県側の祭礼調査でも、「ロウヤブリ(労破りの字を充てることも)」「ドウヤブリ」などという言い方を聞きました。
ヤブリ=破りという解釈はどれも一致しています。
また、意味するところもほとんど同じ(打ち上げ、慰労会)なのですが、「ドウ」「ロウ」「チョウ」という部分の解釈がそれぞれもっともらしい話になっており、地域差も含めて興味深いところです。
元の語が変化していき、結果としてこれらの類語が生まれたとも考えられます。語源的には「トウヤヤブリ」説が有力なようにも見えますが、祭りに関することばとして調査研究に値するものと思います。
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テーマ : 徳島県
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