大地震を恐れない人々(1)

近い将来、大地震が発生する確率が次第に上がってきており、どうも落ち着かない感じです。

1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒頃、関東地方を大地震が襲いました。
マグニチュード7.9、最大震度6の「関東大震災」です。
多くの人が震災体験を文章にしたためていますが、中には地震を恐れるどころか、地震を冷静に観察する(あるいは楽しむ)変わった人もいたようです。
以下は、植物博士として知られる牧野富太郎氏の自叙伝より。

震災の時は澁谷の荒木山にいた。私は元来天変地異というものに非常な興味を持っていたので、私はこれに驚くよりもこれを心ゆく迄味わったといった方がよい。当時私は猿又一つで標品を見ていたが、坐りながらその揺れ具合を見ていた。そのうち隣家の石垣が崩れ出したのを見て家が潰れてはたいへんと庭に出て、庭の木につかまっていた。妻や娘達は、家の中にいて出てこなかった。家は幸いにして多少の瓦が落ちた程度だった。余震が恐いといって皆庭に筵を敷いて夜を明したが、私だけは家の中にいて揺れるのを楽しんでいた。後に震動が四寸もあったと聴き、庭の木につかまっていてその具合を見損なったことを残念に思っている。その揺っている間は八畳屋敷の中央で、どんな具合に揺れるか知らんとそれを味わいつつ座っていて、ただその仕舞際にチョット庭に出たら地震がすんだので、どうも呆気ない気がした。その震い方を味わいつつあった時、家のギシギシと動く騒がしさに気を取られそれを見ていたので、体に感じた肝心要の揺れ方がどうも今はっきり記憶していない。(中略)それを左程覚えていないのがとても残念でたまらない・・もう一度生きているうちにああいう地震に遭えないものかと思っている。
(牧野富太郎『牧野富太郎自叙伝』講談社学術文庫、2004年、82-83ページ)

地震の揺れ方を十分味わえなかったことを残念に思い、生きているうちにもう一度大地震に遭いたいと願う・・剛の者というか、科学者魂というか、なかなかの感性です。
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